年間50万人が受験する日商簿記検定試験。非常に人気のある試験ですが、日商簿記2級を取得することは、どれほどすごいことなのでしょうか?取得することで具体的にどんなメリットがあるのでしょうか?
今回の記事では、実際に日商簿記2級の資格を取得している管理人の経験も含めて、日商簿記2級の資格の凄さをご紹介していきたいと思います。
日商簿記2級は凄い資格?
何が凄い?
日商簿記2級の資格のレベルについて、商工会議所の検定試験のホームページで次のように説明されています。
経営管理に役立つ知識として、企業から最も求められる資格の一つ。 高度な商業簿記・工業簿記(原価計算を含む)を修得し、財務諸表の数字から経営内容を把握できるなど、企業活動や会計実務を踏まえ適切な処理や分析を行うために求められるレベル。
引用元:商工会議所の検定試験
この説明文からもわかるように、日商簿記2級の知識があれば、財務諸表の数字から経営内容を把握でき、企業活動や会計実務を踏まえ適切な処理や分析が可能です。
そして、こうした知識の価値は高いため、日商簿記2級の資格は企業から最も求められる資格の一つとなっています。
日商簿記2級の知識を学び資格を取得することには、多くのメリットがあります。これから、日商簿記2級の凄さを、もう少し詳しく見ていきましょう
企業の経営状況の把握
簿記2級の知識を持つことで、財務諸表の数字を読み解く能力が身につき、企業の経営状況を正確に把握することができます。
これにより、自社や取引先企業の経営状況を分析することが可能となります。
就職・転職活動における強力な武器
簿記2級は「企業が求める資格ランキング」で上位に位置する資格であり、2022年度の就職に役立つ資格・検定ランキングでは2年連続1位を獲得しています。
特に、大手企業や中小企業の経理事務募集では、日商簿記2級程度の知識が求められることが多く、会計事務所や税理士事務所など、専門的な職場での就職や転職にも有利です。
この資格を持っていると、就職・転職活動の際に大きなアドバンテージとなり、特に20代のうちは、経理未経験でも簿記2級の資格があれば経理職に就ける場合も多いです。
副業のサポート
最近は副業を行う人が増えていますが、簿記2級の知識があれば、副業の際に自分で会計処理ができるという強みにもなります。
これらのメリットを考慮すると、簿記2級を取得することは、ビジネスの現場での活躍をサポートするだけでなく、キャリア形成においても非常に有益な資格であると言えるでしょう。
コスパ最強と言われる理由
日商簿記2級は「コスパ最強」と言われる資格の一つです。
このような評価を受けている背景には、以下のような要因が考えられます。
取得コストとリターンのバランス
簿記2級の試験料や教材費用は、他の専門的な資格に比べて比較的手頃です。
しかし、その取得によって開かれるキャリアの幅や、ビジネスの現場での評価は非常に高いです。
簿記2級を持つ人は、持たない人に比べて平均年収も高いとされています。
学習期間の短さ
簿記2級の取得に必要な学習期間は、独学での効率的な学習法を採用すれば、数ヶ月程度で合格圏内のスコアを目指すことが可能です。
この短期間での取得が、多くのビジネスパーソンや学生にとって魅力的に映る要因となっています。
ビジネス全般への応用性
簿記の知識は、経理やファイナンスだけでなく、マーケティングや営業、経営企画など、ビジネスの幅広い領域での意思決定や戦略策定に役立ちます。
これらの要因から、簿記2級は「コスパ最強」として、多くの人々から高い評価を受けているのです。
日商簿記2級の資格:意味ないという意見の考察
日商簿記2級に対する評価は、取得者や業界によって異なります。
一部の人々は、「日商簿記2級は意味がない」との立場を取っています。
この意見の背後には、簿記の知識だけでは、実務経験が伴わない限り企業からの評価が低いという現実が関係しているからだと考えられます。
実際、簿記の知識を持っていても、それを実際の業務に活かす能力が問われる場面が多いため、資格だけでは十分な評価を受けられないという側面があります。
しかしながら、日商簿記2級を取得することのメリットも無視できません。
この資格を持つことで、簿記の基本的な知識や技術を習得することができるのはもちろん、それを証明する一つの「証」でもあります。
特に、簿記や会計に関する業務に携わることを希望する人々にとって、日商簿記2級は入門としての価値が非常に高いと言えるでしょう。
また、日商簿記2級を取得することで、自身のスキルセットを広げることができるとともに、就職や転職の際のアピールポイントとしても活用できる可能性があります。
日商簿記2級の価値は、その取得者の目的や背景、そして将来のキャリアプランによって大きく変わることが考えられるため、自身の目的や将来のビジョンを明確にし、それに合わせて適切な資格を選択することが重要です。
日商簿記2級の独学での取得は凄い?
独学で日商簿記2級の資格を取得することは、大きな挑戦と言えます。
それだけに、資格取得したときの喜びはひとしおでしょう。
日商簿記2級の合格率からわかること
以下は、日商簿記2級の受験者データ(統一試験)の一覧表です。
回 | 受験者数(申込者数) | 合格率 |
---|---|---|
164(2023.6.11) | 10,618名 | 21.1% |
163(2023.2.26) | 15,103名 | 24.8% |
162(2022.11.20) | 19,141名 | 20.9% |
161(2022.6.12) | 16,856名 | 26.9% |
160(2022.2.27) | 21,974名 | 17.5% |
159(2021.11.21) | 27,854名 | 30.6% |
158(2021.6.13) | 28,572名 | 24.0% |
157(2021.2.28) | 45,173名 | 8.6% |
156(2020.11.15) | 51,727名 | 18.2% |
155(2020.6.14) | 中止 | – |
157回の数字は極端に低いですが、それ以外の数字で見ると、20%~30%程度の合格率であることが分かります。
10人受けて2~3人が合格する試験という事になりますが、合格者の中には、通信講座を利用して勉強している人も少なくありません。
この点を考えると、独学で日商簿記2級の試験に合格することは凄いと言えるのではないでしょうか?
独学で勉強する場合の注意点
独学で日商簿記2級の取得を目指す際、注意すべき問題もあります。
以下に、独学で勉強する場合の注意点について取り上げますので参考にして下さい。
独学のメリット・デメリットの理解
独学の大きなメリットとして、自分のペースで学習ができる点や教材費の節約が挙げられます。
一方、デメリットとしては、疑問点が生じた際に質問できる相手がいない、また自らのスケジュール管理が必要となる点が考えられます。
資格取得の目的の明確化
独学での学習を進める際、資格を取得した後の具体的な目的や活用方法を明確にすることが重要です。
これにより、学習のモチベーション維持に繋がります。
適切な教材の選択
独学での学習を進める際は、最新の試験内容に対応した教材を選ぶことが必要です。
特に、簿記試験の内容が改訂されることもあるため、最新の教材を選択することをおすすめします。
計画的な学習スケジュールの作成
独学では自らのスケジュール管理が必要となります。試験日までの期間を考慮し、効果的な学習スケジュールを組むことが大切です。
管理人の経験談
私は、日商簿記2級を独学で勉強しましたが、7回目の試験でやっと合格できた苦労人です。
私の場合、スケジュール管理が得意ではなかったことやモチベーションの低下、同時に他の資格試験の勉強にも取り組んでいた時期があり、何度も試験に落ちてしまいました。
確保できる勉強時間や前提知識などにもよりますが、日商簿記2級は、決して簡単な試験ではありません。
あくまでも個人の意見ですが、独学での一発合格を目指すなら、簿記の勉強に集中して取り組んだほうが良いのではと思います。
日商簿記2級:資格取得のメリット
日商簿記2級を取得することは、単に簿記の知識を持っているという証明以上の価値があります。
以下に、その取得がもたらす具体的なメリットについてご紹介します。
ビジネススキルの向上
簿記の知識は、ビジネスの現場での意思決定や戦略策定の際に必要とされる基本的なスキルです。
実際、多くの企業では、経理やファイナンス部門だけでなく、営業やマーケティングの職種でも簿記の基本的な知識が求められるケースが増えています。
キャリアアップのチャンス
日商簿記2級を持つことで、経理やファイナンスの専門職への道が開かれるだけでなく、管理職や経営企画のポジションへの昇進の可能性も高まります。
プライベートでの資産運用
簿記の知識は、自身の資産運用や家計の管理にも役立ちます。
自助努力により資産形成をしたいと考える人も増加しています。
日商簿記2級の知識があれば、投資先の企業の財務諸表の読み解き能力が向上し、より適切な投資判断ができるようになります。
独立・起業のサポート
簿記の知識は、自身でビジネスを始める際の大きなサポートとなります。
特に、初期の経営計画の策定や資金調達の際に、正確な財務諸表の作成能力は非常に価値があると言えます。
日商簿記2級に関するよくある質問や疑問
日商簿記2級で年収600万以上は可能?
日商簿記2級を取得することは、多くの職種でのキャリアアップの一助となります。
実際に、簿記2級を持つ者の中には年収600万円以上を実現している人も少なくありません。
しかし、この数字は単に資格を持っているからという理由だけで得られるものではなく、どのようにその知識やスキルを活用し、どのようなキャリアパスを築くかが重要です。
例えば、中小企業の経理部門での経験を積み、その後大手企業や外資系企業の経理やファイナンス部門に移ることで、高収入を得るケースが考えられます。
また、簿記の知識を活かして、経営企画やマネジメントのポジションに就くことも可能です。
これらのポジションは、企業の経営戦略を決定する役割を持つため、高い報酬が設定されていることが一般的です。
さらに、簿記の知識は、会計士や税理士などの専門職への道も開きます。
これらの専門職は、高度な専門知識を要求される一方で、それに見合った高収入を得ることができる職種として知られています。
しかし、これらのキャリアを実現するためには、簿記2級の知識だけでなく、実務経験や他のスキル、人脈なども非常に重要です。
資格はあくまで一つのステップに過ぎません。
継続的な学びや経験の積み重ねが、高収入を実現するための鍵となるでしょう。
日商簿記2級の試験:157回の炎上事件とその影響とは
以前、日商簿記2級の157回目の試験が大きな話題となりました。
その背景には、試験問題の難易度が過去最高とも言われるほど高かったことが挙げられます。
この試験回では、通常の合格率である20~30%を大きく下回る、わずか8.6%の合格率でした。
この結果に対し、多くの受験者や関係者からは不満の声が上がりました。
特にSNSでは、「不合格になったのは試験の難易度が異常だったからだ」という意見や、「毎年勉強しているのに、この回だけ異常に難しかった」という声が多数見られました。
このような声を受け、一部の受験者は試験の再実施を求める署名活動を開始するなど、大きな波紋を呼びました。
この事件を受けて、試験を主催する団体は公式な声明を発表しています。
試験問題の難易度についての再評価を行うとともに、今後の試験問題作成の方法や基準の見直しを検討することを明らかにしました。
また、受験者へのサポートや情報提供の方法も見直されることとなりました。
この事件は、資格試験の難易度や問題作成の透明性、そして受験者の声をどのように取り入れるかという点について、多くの人々に考えるきっかけを与えました。
日商簿記2級の試験だけでなく、他の資格試験においても、適切な難易度設定や問題作成の方法が求められるようになったと言えるでしょう。
日商簿記2級と大学教育の関係
日商簿記2級は、ビジネスの基本とも言える簿記の知識を試す試験として、多くの受験者が挑戦しています。
この試験の難易度は、中級者向けとされており、独学での合格は一定の努力を要します。
一方、現代の大学教育では、ビジネス関連の学部や学科で簿記に関する授業が設けられていることが多いです。
これらの授業では、簿記の基礎から応用までを学ぶことができ、日商簿記2級の試験範囲にも触れる内容が教えられています。
実際、大学での学びをベースに、独学や予備校での補完学習を行うことで、より高い合格率を達成している学生も少なくありません。
しかし、大学の授業内容と日商簿記2級の試験範囲は完全に一致するわけではないため、大学の授業だけを頼りにするのではなく、過去問の演習や模擬試験を活用して、実際の試験に向けた対策を行うことが重要です。
また、大学での簿記の学びは、単に試験対策だけでなく、将来のビジネスシーンでの活躍を見据えた基盤作りとしても非常に価値があると言えるでしょう。
記事のまとめ
今回の記事では、日商簿記2級の資格が凄いといえる理由について取り上げました。
日商簿記3級程度の知識があれば、日商簿記2級の資格は、独学で250時間~350時間程度、通信講座などを活用すれば150時間~250時間程度を目安として、集中して勉強すれば一発合格も可能な資格です。
簿記の知識を学ぶメリットは多いですので、是非資格取得に挑戦していただきたいと思います。