今回の記事では、行政書士の前に取るおすすめの資格について取り上げています。
当メディアの管理人ヒデは、下記の複数の資格を取得しています。
- 行政書士
- 日商簿記2級
- FP2級・AFP
自分の経験なども踏まえて、できるだけ分かりやすくご説明していきたいと思います。
行政書士の前に取るおすすめの資格とは?
行政書士の前に取る資格と言っても、以下のような異なる意図が考えられます。
- 行政書士の勉強範囲と重なっている資格
- 行政書士の業務と相乗効果が期待できる資格
- 行政書士の仕事をする上で役立つ資格
この記事では、上記の内容を考慮した上で、管理人が特におすすめしたい資格をご紹介します。
宅建(宅地建物取引士)
宅建と行政書士の試験には、共通する科目が存在します。
特に民法は、両方の試験で重要な位置を占めています。宅建の出題範囲には権利関係が含まれ、これは主に民法からの出題が中心となっています。
一方、行政書士の試験にも民法が含まれており、行政法とともに攻略が必要なメイン科目となっています。
このような共通性から、宅建であれば、既に学習済みの内容が行政書士試験の勉強にも役立つことが期待されます。
ダブルライセンスのメリット
宅建は不動産業界での転職や昇進に有利な資格として知られています。
一方、行政書士は独立開業を目指す人に向いている資格です。
宅建の資格を活かして稼いだ収入や経験をもとに、行政書士としての独立開業を目指すことができるという流れが考えられます。
宅建の難易度と勉強時間の目安
試験の難易度に関しては、行政書士の方が宅建よりも高いとされています。
具体的には、行政書士の合格率はおおむね10%程度であるのに対して、宅建の合格率は15%程度で推移しています。
また、行政書士の勉強に必要な時間は500~800時間ほどとされているのに対して、宅建は200~300時間程度といわれています。
ダブル受験はあり?
毎年、宅建は10月の第3日曜日、行政書士は11月の第2日曜日に試験が行われます。
このように宅建と行政書士の試験日は非常に近いですし、試験範囲も重なる部分があるため、同じ年に両方の資格を取得したいと考えるかも知れません。
これは、勉強にかけられる時間や前提となる法律の知識、勉強開始の時期などによって変わってくるとは思いますが、法律初学者の方で、1日平均1~2時間ほどしか勉強時間を確保できない場合は、無理をせずに1つの資格勉強に集中して取り組んだ方がいいと思います。
勉強範囲が重なっているとは言え、これらの資格は、10%~15%しか合格しない難しい試験だからです。
ちなみに、当メディアの管理人は、40代・法律初学者でしたが、2021年5月から行政書士の勉強を始め、その年11月の試験に一発合格できました。
Studyplusの学習時間を確認したところ、約830時間でした。
勉強開始から約半年間、試験当日まで1日も休まず勉強を継続して、182点でなんとか合格できました。
ちなみに、翌年の宅建の試験は、2点足らずで不合格でした。
実際に、行政書士と宅建を受験した経験から感じたことは、それぞれの試験は決して簡単ではないという事です。ですから、個人的にはどちらかの試験に絞って、勉強することをお勧めしたいと思います。
一般的には、宅建試験を受験後に行政書士を受験する流れが推奨されています。
宅建の試験が行政書士よりも難易度が低いとされるため、宅建での合格を経て自信を持ってから行政書士の試験に挑むというのが一般的なアプローチとなっています。
総じて、不動産業界に特化してキャリアを築きたい場合や、短期間での資格取得を目指す場合は宅建を先に、幅広い法律業務を行いたい場合や、より高度な法律知識を身につけたい場合は行政書士を先に取得すると良いでしょう。
FP(ファイナンシャルプランナー)
FPは、お金と暮らしに関するさまざまな事項を取り扱う資格であり、行政書士は官公庁に提出するさまざまな種類の書類を取り扱う資格です。
これらの資格はお互いに業務が幅広いため、重複する部分が存在します。
特に、相続に関しては、行政書士が民法で相続を学び、FPが相続・事業継承の分野で相続について学ぶため、相性が良いとされています。
相続は親から子への財産の譲渡を指しますが、この過程は必ずしもスムーズには進行しないことが多いです。
そのためFPの資格を持っていれば、良いプランニングによってサポートができ、実際の手続きは行政書士資格を活かして行うことが可能です。
このため、FPと行政書士のダブルライセンスを持っていれば、相続に関するトータルなサポートを提供することができ、顧客にとって非常に魅力的です。
具体的には、遺言や相続に関する相談を受けた際、行政書士の資格を活かして、相続関係説明図や相続財産目録、遺産分割協議書の作成などの書類関連の手続きを代行することができます。
さらに、FPとしての知識を活用して、相続財産に関する相談や財産管理のコンサルティング、相続後のライフプランの提案なども行うことができます。
注意点としては、相続に関連して発生する可能性がある税金については、税理士に依頼する必要があります。
FPは税金の基礎知識は学んでいますが、個別具体的な税務相談に応じることはできません。
それでも、一般的な事例に置き換えて説明することは可能なので、行政書士に加えてFP資格があれば、競合との差別化を図ることができます。
FPについては、1~3級までありますが、できれば1級か2級の知識がある方が良いでしょう。
簿記
簿記は、企業の経営活動を記録・計算・整理し、経営成績や財政状態を明確にする技能を持つ資格です。一方で、行政書士は、行政機関への書類提出や代行を主な業務とする資格です。
行政書士と簿記は、異なる分野の資格であるにも関わらず、相性の良い資格と言えます。
行政書士の業務の中には、記帳代行という安定した収入源を持つ業務があります。
この業務は、簿記の知識を活かして行うことができるため、簿記の資格を持つ行政書士にとっては大きなメリットとなります。
また、行政書士が開業する際には、自身の確定申告や税務処理が必要となります。
この時、簿記の知識があれば、自身の確定申告がスムーズに行えることもメリットです。
ちなみに、士業の事務所で働いた経験がなかった当メディアの管理人ですが、行政書士と日商簿記2級の資格を取得していたおかげで、建設業の手続きと記帳代行をメインとしている行政書士事務所に採用された経験があります。
私は、現時点で行政書士として開業はしていませんが、個人事業主として毎年、青色申告による確定申告をしていますので、自分の事業に関する会計処理をする上でも簿記の知識は大変役立っています。
特に、行政書士として独立して、建設業関連をメインの仕事にしたい場合は、記帳代行の仕事も合わせて請け負うことができますし、簿記の知識がなければ、建設業許可を取得している事業者に毎年提出が求められる決算変更届の書類作成は難しいので、事前に日商簿記2級レベルの資格を取得しておくことは大変役立ちます。
他にもある!行政書士の前に取るおすすめ資格
これまで取り上げてきたお勧め資格は、私自身が実際に受験経験があるものや資格取得をしているものの中からご紹介しました。
ですが、行政書士の前に取得しておくと役立つと思われる資格は他にもあります。
この見出しでは、さらに4つの資格についてご紹介したいと思います。
ITパスポート
行政書士の業務において、ITの知識は不可欠となってきます。
特に、現代のデジタル化が進む中で、ネットやコンピュータを効果的に利用する技術や理論の習得は、行政書士としての業務効率を大きく向上させる要因となります。
ITパスポートは、このようなネットやコンピュータの基礎知識を習得するための資格として位置づけられています。
具体的には、ネット上のさまざまな情報(例:文書、申請方法、必要書類など)を効率的に検索したり、データを取り込んだり、保存したりする技術は、行政書士の業務において頻繁に必要とされます。
また、クライアントとのやり取りや情報収集の際にも、ネットを活用することで時間を大幅に短縮することが可能です。
行政書士を目指す方々にとって、ITパスポートは業務の幅を広げるための重要なステップとなるでしょう。
特に、デジタル技術の進化が続く現代において、ITの基礎知識を持つことは、行政書士としての競争力を高めるための大きな武器となります。
秘書検定2級
秘書検定2級は、ビジネスマナーを中心に、高度なコミュニケーションスキルを習得するための資格です。
この資格を取得することで、行政書士としての業務効率やクライアントとの関係構築が向上します。
行政書士としての業務では、自身の振る舞いやマナーが直接、クライアントからの評価に影響するため、秘書検定2級のスキルは非常に価値があります。
行政書士事務所で勤務するか個人で独立開業するかを問わず、ビジネスマナーは必須のスキルとなっています。
特に、行政書士が直接クライアントと接する際、適切なコミュニケーション能力やマナーは、信頼関係を築く上で欠かせない要素です。
秘書検定2級は、行政書士の業務においても非常に役立つスキルを習得するための資格と言えます。
個人情報保護士
個人情報保護士は、個人情報の適切な取り扱いや保護に関する深い知識と専門性を持つ資格であり、その知識は現代のデジタル化された社会での情報管理において非常に重要です。
一方、行政書士は行政機関に提出する許認可等の書類の作成や権利義務、又は事実証明に関する書類の作成など、幅広い業務を担当します。
行政書士の業務において、企業や個人の情報を取り扱う際、その情報の適切な管理や保護が求められるケースが増えています。
このような背景から、行政書士が個人情報保護士の資格も持つことで、顧客からの信頼度が一層高まり、より専門的なサービスを提供することが可能となります。
また、行政書士業務では秘匿情報を数多く取り扱うため、個人情報保護士の資格を保有していると、顧客からの信頼度が上がり、業務の幅も広がるでしょう。
特に、データの取り扱いや情報管理に関する相談が増えている現代において、この二つの資格の組み合わせは大きな強みとなり得ます。
資格取得の投資対効果をしっかりと評価し、自身のキャリアプランに合わせて適切な選択をすることが求められます。
ビジネス実務法務検定試験2級
ビジネス実務法務検定は、企業活動における法律の知識を試す検定試験の一つです。
この試験は、東京商工会議所が主催しており、ビジネスの現場で必要とされる基本的な法律知識とスキルを身につけることを目的としています。
試験の内容は、民法、会社法、労働法など、ビジネスに関連する多岐にわたる法律を対象としています。
民法や会社法などは、行政書士の試験範囲とも重なっており、事前にビジネス実務法務検定の勉強をしておけば、行政書士試験にも取り組みやすいでしょう。
特にビジネス実務法務検定2級は、企業の管理部門で働く人々にとって非常に有益な資格とされています。
これは、この試験が通常の法律知識だけでなく、損害賠償手続きや倒産手続き、人材派遣などの労務関係の法律といった、実務に密接に関連する知識も問うためです。
2021年より自宅や職場での受験が可能となり、PCがあればどこでも受験することができるようになりました。この変更により、受験のハードルが下がり、より多くの人々が試験に挑戦しやすくなっています。
この資格を取得することで、行政書士としての業務範囲を拡大するだけでなく、企業のコンプライアンス部門での活躍の場も増えるでしょう。
特に、近年のビジネスの現場では、法的な問題やリスクを適切に管理することが求められており、ビジネス実務法務検定試験2級の知識は大変価値があると言えます。
記事のまとめ
行政書士の前に取得する上で、おすすめの資格についてご紹介しました。
行政書士の勉強を始める前に、取得しておくことで、行政書士の試験勉強に役立つ資格や、行政書士資格で独立開業する上で役立つ資格など、この記事では合計7つの資格についてご紹介しました。
これらの情報も参考に、適切な資格取得やキャリアアップの方法を選んで下さい。